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痛風は普通ツーフーとしか読めませんが、皆痛風と聞くと勝手にこう解釈してくれます。「あ〜、贅沢病ね。旨いものばかり食ってんだろ」。実は私、痛風になってしまいました。そして知りました。この病気が偏見に満ち満ちているということを。だからここで少し弁明をさせていただきたいのです。一人ひとりに説明するのは、もう面倒臭いんですよ。
これは痛風発作12時間後の マイ・ライト・フット。 親指の付け根の関節に激痛が走り、 それに伴い右足全体が赤く腫れ上がる。 もうこの時点では一歩も歩けない。 8月23日深夜、 朝までオリンピックを観ながら撮影。 (寝られないんだよ!!) 「痛風は旨いもんばかり食っている、運動不足の人間がなる病気」という常識。はっきり言って、あれは間違いです。まあ、完全な間違いとは言えませんが。確かに大昔、ミケランジェロやルイ14世(彼らも痛風だった)の時代はそうでした。普通の庶民は贅沢なものは食べられないし、裕福な人とは生活環境がまるで違う。戦時中や食料事情の悪い地域には少ないし、日本でも明治時代まで痛風はなかったらしい。私が子供の頃でもまだ一目でわかる貧乏な人(ホームレスではない)がかなりいたから、そういう時代の痛風なら「贅沢病」と言われてもしかたない、と思います。 しかし今、周囲を見てください。ステーキを食べたことのない人はいますか?和食でも洋食でも中華でも、美味い不味い、高い安いを別にすれば、大金持ちもそうでない人もほぼ同じものを食べています。もう日本人の食生活そのものが、昔で言えば“贅沢”に変わっているんです。だからこれは贅沢病と言うよりも、贅沢な時代の病気と言う方が正しいのでは? 食事のことをもう少し詳しく言うと、痛風に悪いのはプリン体というカワイイ名前の成分です。これは肉や魚の特に内臓や干物に多くて、必ずしも高価な食材に限りません(ちなみにプリンにもあまり入っていません)。そしてビール。アルコールは色々な意味で痛風には良くないのですが、ビールは他のものに比べるとプリン体の量も桁違い。そこで面白いことになります。チーズをつまみにワインを飲むよりも、煮干しや干物をつまみにビールを飲む方が痛風にはよくない。どちらが贅沢かは説明しなくてもわかるでしょう。 まあともかく、食事なんてものは痛風の要素としては全体の1/7くらいらしいです。だから今ではあまり病院でも強調していません。痛風とは簡単に言えば体内の“尿酸”の量が多い人(高尿酸血症という。今では40歳以上の男性の10人に1人らしい)が何かのきっかけで起きる“発作”。この尿酸を体内でうまく処理できない人が痛風になってしまうというわけです。で、その原因はというと、ストレスや肥満や運動等の生活習慣もありますが、やっぱり最終的には体質、これらしい。私の場合は兄も痛風、父親も関係がありそうな腎臓病だったから遺伝的な要因が強いのです。何でも親が痛風の男は(女性はホルモンの関係でなりにくい)80%の確率でなるそうです。 ということ。他の成人病と同じで太っている人の方が確率は高いから、これも痛風イコール贅沢というイメージを作りやすいんですが、私は体脂肪10%台の前半。こんな人間でもなってしまう。ストレスはどうしようもないし、そのストレスを少しでも抑えるためのアルコールや食事をがまんするというのも……。とにかく痛風が贅沢病というのは、この国に限って言えば30年前くらいまでの常識。現代では誰が、いつなってもおかしくない病気なのです。
by assy109
| 2004-11-25 22:07
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